
静岡県 cocoro/山田 真理 様
タイトル『思春期13歳の心のケア』
ご来店する時に一緒についてくるお客様の長女と次女。
ある時、3人で来店された時のこと。
いつもの様にお母様が施術している間、お姉ちゃんは勉強、妹さんは動画を見て待っていました。
施術が終わり、お姉ちゃんはお母様に、「ここまでやった!」と勉強したノートを見せていましたが、「凄いねー!」とあっさり会話が終了し、会話の中心は常に妹さん。その時のお姉ちゃんの顔つきが寂しそうに思えて、その日、私はずっとその子の顔が頭から離れませんでした。
甘え上手の妹さんは、お母様の腰にくっついてはふざけて遊びながら帰られ、その後ろに勉強道具のバッグを下げながら歩くお姉ちゃん。
3人の後ろ姿を見送る時、思わず最後尾にいたお姉ちゃんの背中を撫でて、「また来てね。」とそっと声をかけました。
それから2ヶ月くらい経ち、お姉ちゃんが学校には行けているけど家に帰ってくると部屋から出てこなくなったというお話を聞きました。
お母様は「思春期だからかな」と言っていましたが、それからさらに経ってから、リストカットみたいな跡があったとお母様は悩まれていました。
次回の来店予約を取る際に、お姉ちゃんを連れてくる様に勧めて、一度施術してみたらどうかと提案してみました。
そして翌週。
お母様と一緒に来店してくれたお姉ちゃんの施術が終わりました。
「今度ひとりで遊びにおいで」とお姉ちゃんにそっと声をかけました。
その翌日、夕方チャイムが鳴り出てみると、学校帰りにそのままお姉ちゃんが寄ってくれました。
いつも通りに接しました。
「今日はね、練習したい所があってね、練習に付き合ってくれるかなぁ?」と言うと、「うん」と言ってくれたので、そのまま施術をしてあげる事になりました。
はじめは、返事くらいで私の話すことを聞いては少し笑顔になったりするくらいでした。
全身の施術をしたかったのは、リストカットの状態を見る為でもありました。
リストカットは一回だけではありませんでした。
細かい傷がシワの様にたくさん刻まれているのを見て、中学生のこの子がこんなにも自分を傷つけている事に悲しくなり、涙が溢れてきました。
でも、泣いているわけにはいきません。
『何があったのかな。聞きたいけど、聞けない。』
理由は聞かず、私は愛情いっぱいの施術を心がけました。
そして、最後はハグして背中をさすってあげました。
お母様には来たことを報告しませんでした。
それから何度か続けて来る様になった頃、ハンドセラピスで気持ちが落ち着いてきたのかお姉ちゃんの方からお話ししてくれる様になってきました。
原因は、愛情差別。
お母様や妹の顔を見ると苦しくなり、部屋に閉じこもってしまう事が増えたそうです。
自分の存在意義がわからなくなり、それは時に妹への嫉妬心や憎しみに変わり、感情のコントロールが出来なくなってしまう。
泣きながら打ち明けてくれる時もあれば、あまり話さない日もありました。
でも、私を頼って来てくれている事に必ず意味はあると思い、私はハンドセラピスをしながら見守り続けました。
13歳という年齢はまだ大人でもなく、子供でもありません。
もがき苦しみ、痛み、絶望、抱えきれない葛藤、そして自傷行為。
お店に来ている事はお母様には絶対知られたくないというお姉ちゃんの意思を尊重しました。
本当は心配もかけたくないし、妹のことも好き、前のように家族仲良く過ごしたいし、部屋にも閉じこもりたくないと打ち明けてくれました。
その後も、私の手技練習という口実でお姉ちゃんの心のケアをしながら、学校であった事、家族の事、友達の事をお話ししてくれる様にまでなりました。
その後、ハンドセラピスを受けるお姉ちゃんの手に、リストカットが増える事は一切ありませんでした。
そうした日々が4ヶ月間続きました。
そんなある日、穏やかな笑顔で恥ずかしそうに打ち明けてくれました。
将来は医療関係の道を進み、それと同時に心と体にも効果があるハンドセラピスもやりたい!という夢を決めたそうです。
この4ヶ月間に、今後の人生の道を決め、そこにハンドセラピスが少しでも携わってくれたことに胸が熱くなりました。
その後、久しぶりにまたあの頃のように3人での来店!
懐かしい光景!
お姉ちゃんと目が合った瞬間、嬉しそうな笑顔を見せてくれた時、私は物凄い幸福感で一杯になりました。
お母様の施術をしている時に、「最近、昔のようにリビングにいる事が増えてきたんです。」と嬉しそうに報告してくださいました。
私は、「良かったですね♪」と伝えました。
お母様の施術を終え待合室へ向かうと、そこには妹さんと笑いながら動画を見ているお姉ちゃんの姿がありました。
頑張って勉強をして褒められたいお姉ちゃんはもうそこにはいませんでした。
『無理して自分の心を押し潰してまで良い子でいる必要はない!』
自然体でいるお姉ちゃんを見て本当に安心しました。
もしも、
また何かに立ち止まってしまった時、
辛い事があった時は、
この秘密の4ヶ月間の事を思い出して、
いつでも会いに来てね。
